Konifar's WIP

親方!空からどらえもんが!

こんな風になりたいと感じる大人の振る舞い

SHIROBAKO Advent Calendar 25日目の記事です。

月日が経つのは早いもので、もう最終日となりました。参加していただいた皆さんありがとうございました。今までの愛に溢れた記事は、昨日の@kgmyshinさんの『総集編はもういやだ』にまとまっています。

初日はロロについて好き勝手書きましたが、今回はSHIROBAKOの登場人物の 『大人の振る舞い』について書きます。

『大人』という言葉は抽象的で、人によって思い浮かべるイメージが違うと思います。20歳以上を大人と捉えることもできますし、社会人になって自立した状態を大人と呼ぶ人もいます。ただ 久乃木ちゃんは大人なのか?」と聞かれれば、ちょっと悩んでしまいますね。私自身、精神的な意味で『大人』というのがどういう姿なのか未だに定まっていません。

そんな中で、SHIROBAKOに出てくる登場人物は、物語の要所要所で具体的な『大人』のロールモデルを示していたように思います。「こういう大人になりたいなぁ」「歳取ったらこんな風になりたいなぁ」と感じる振る舞いがたくさん盛り込まれていて、色々と考えることも多かったので、思考整理を兼ねてまとめておこうと思います。

大変な時でも余裕を持つ

1話で、他の人の作業のしわ寄せでスケジュールがカツカツになることを伝えられた佐倉さんがとても素敵でした。

「いいよー別に。撮影は待つのも仕事だからねー」

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不満がないわけではないでしょうが、それを漏らさない姿はかっこいいですよね。1年目で右も左もわからないみゃーもりも安堵の表情を浮かべていました。

実際にかなり逼迫した状態で仕事が入ってきた時も余裕の返答をしています。

「ダビングまであと1時間?何言ってんの、20分あれば余裕だよ」

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めちゃくちゃかっこいいですね。こんな風に、大変な時でもペースを崩さず余裕を持って人に接することができるようになりたいものです。

また、3話でギリギリでえくそだすっ!4話が完パケした時の本田さんの台詞も先輩の余裕が感じられます。

「もっとなんでも言ってくれていいから、一人で抱え込まないで。失敗しないで成長した制作なんて、俺知らないもんね」

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デスクで万策尽きかけた状態でこの気遣いはなかなかできるものではありません。自分はちょっとマルチタスクになるとすぐにテンパって余裕なくなってしまうので見習いたいなぁと思いました。

さりげないフォローを入れる

周りに対してさりげなくフォローを入れられる人は大人だなぁと思います。3話でテンパっていたみゃーもりに対する矢野さんみたいな感じですね。

「あんた脳みそ動いてないでしょ。糖分とりな!」

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矢野さんはみゃーもりのことを本当によく見ていて、ことあるごとに甘いものを差し入れて話を聞いて前に進ませてくれます。19話でも、デスクのプレッシャーに潰れそうなみゃーもりにお土産のキャンドルを渡してフォローするシーンがありました。

「今日は一旦うちに帰りな。顔ひどいよ?帰ってちゃんと寝て、明日元気に会社に来ること。先輩からの命令!」

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もちろんこういう気遣いは向き不向きはあります。矢野さんの場合、相手にあまり気を遣わせないような物言いがとても心地よくていいなぁと思いました。

おかしいと思ったことを冷静に伝えられる

16話で小笠原さんがちょっと怒っていたシーンがとても印象的でした。初めてのキャラデがうまくいかず悩む井口さんをもっとフォローした方がいいと制作に訴える時の台詞です。

「サポートが足りないと思うのです。井口さんは今回初めてキャラクターデザインを担当しています。なのにあなた方は井口さんをずっと放りっ放しではありませんか」

「原作者が何も言ってくれないからと言って、その全てを井口さんに丸投げするのは仕事を放棄しているのと同じです。それではあまりではないですか?井口さんを抜擢したのなら、ちゃんと相談に乗ったりアドバイスしてあげて下さい。井口さんに負担がかからない、作業に集中出来る環境を作ってあげて下さい。そして最後までしっかり井口さんを支えて差し上げて下さい」

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後輩のことで怒れる小笠原さん自体も魅力的でしたが、何よりそれをみゃーもりやナベPに面と向かって伝えられるのはすごいなぁと思いました。おかしいと思ったことを、感情的になりすぎず冷静に伝えられるようになりたいものです。

発言に責任を持つ

14話で第3飛行少女隊の主演声優を決める時、音響監督の稲波さんが会議中に次のような発言をしました。

「政治的なキャスティングは必ずバレます。そしてそれは断言できますが、作品にプラスになることはない。絶対にです」

「一方で、鈴木京子さんの経験の少なさが不安という意見も理解できます。 その時は、私達が育てればいいんですよ」

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これだけでもめちゃくちゃかっこいいわけですが、稲波さんが最高なところは18話でこれを有言実行しているところです。

主演の鈴木京子さんが「心なんてもう…捨てちゃったから…」という台詞でつまづいている時に、さりげなく声をかけています。

「アリア、今日はスタジオ来る前どこか寄った?」

「はい。駅、降りた後、コンビニでお水買って来ました」

「構内のコンビニ?」

「いえ、この近くの牛丼屋のそばの」

「水買っただけ?」

「えっと、はい。今日はそうです」

「ペットボトルは?」

「もう捨てちゃいました」

「はい、もう一度」

「もう捨てちゃいました」

「うん、じゃあその感じで『捨てちゃったから』」

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もう絶妙すぎて「うわぁ…」っと声が漏れました。自分の言葉に責任を持って行動していて、まさに大人の振る舞いです。

自分の経験に基づいて話す

SHIROBAKOはシニア勢がかっこいいと定評があります。長年の経験を元に諭すように話すシーンはいつ見てもかっこいいです。

例えば、7話で自分のスキルに悩む絵麻ちゃんに対して杉江さんが次のように声をかけています。

「若い時でないと、手の速さは身に着けられないからねぇ。今が頑張り時だよ。速く描くには上手くなる。上手く描くにはいっぱい描く。いっぱい描くには速く描く。技術とスピードは、実は全く別の問題でね。歳とって技術を手に入れても、1日に描ける量はそうは変わらない。むしろスピードは落ちていく」

「出来れば食べられる。出来なければ辞めていく。アニメーターはそういう仕事だよ」

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悩む絵麻ちゃんに対しては、8話で井口さんもアドバイスしています。

「私が初めて描いた動物、モグラだったよ。モグラなんてわかんねっつーの。まぁキャラものだったから何とかなったけどね」

「上手かったとしたら真似が上手かったんだよ。最初からオリジナルで上手く描けるわけないじゃん」

「昔の原画あさって、真似して、ダメ出しくらって、自分なりの表現できるように四苦八苦して」

「新人は先輩の描いたものを真似して学ぶ。まねぶって言うじゃん?」

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キャリアがわりと近いからこそかけられる言葉もあるんですよね。その井口さん自身も、16話でキャラデが決まらない時に小笠原さんからの経験談を聞いて踏ん張るシーンがありました。

「辛い時期の無い職業なんてありません。ですから後は、屈辱をバネにどれだけ自分が頑張れるかです」

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22話で作監を引き受けるかどうか迷っている絵麻ちゃんに対しても、杉江さんが一言声をかけています。

「受けたほうがいい」

「僕は僕より上手い人間がわずかな自意識過剰やつまらない遠慮のせいでチャンスを取りこぼしてきたのを何度も見た。惜しいと思うよ、未だにね」

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経験は宝と言いますが、実際の経験からのアドバイスは力強く心に響きます。人から聞いたことや本で読んだことではなく、自分自身の経験を自分自身の言葉で伝えられるような大人になりたいなぁと思いました。

こだわりを行動で示す

仕事へのこだわりを行動で示しているなぁと感じるシーンがありました。背中で語っていると言いかえてもいいかもしれません。

例えば12話で最終話の絵コンテを変えようとナベPに言われた時の本田さんは、万策尽きることなく食らいついていました。

「何言ってんですか!ここはクライマックスじゃないですか!最終話のクライマックスで逃げるなら今まで何やってきたんだって話ですよ!」

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こういうこだわりをちゃんと持っている人には憧れますね。このシーンのみゃーもりや太郎の表情もとてもよかったです。

同じく12話で、杉江さんが監督に修正をお願いするシーンも非常にかっこいいです。

「木下君、まだ修正できますか?」

「カット304、足の運びが気になるんですよ。3時間だけもらえますか?」

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まさしくプロのアニメーターのこだわりという感じで、実際にやりきって見せる姿には息を呑みました。

また、少し毛色は違いますが24話で最終話大詰めという場面で佐倉さんが目をキラキラさせて話すシーンも印象的です。

「新しいプラグイン作ってみたんだよね」

「ガラスのハイライトが一発で出るんだよ!」

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後輩には「またですか?!」と言われていましたが、こういう効率化をこだわってしまう姿勢には非常に共感を覚えました。

厳しい言葉をちゃんと伝える

5話で3D監督の下柳さんとケンカしていたアニメーターの遠藤さんに対して、北野さんが放った厳しい一言が印象に残っています。

「俺たち絵描きが歩み寄って、3Dアニメータの使うツールも長所も短所も知って、彼らと協力してアニメの質を上げてくんじゃないのか?」

「上手くいかないことを人のせいにしているような奴は辞めちまえよ!」

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ちょっと言い過ぎでは…!と思われるかもしれないですが、自分はどちらかというとこういう厳しい言葉を言えないのですごく大人で愛のある対応に見えました。厳しい言葉を伝えるのは意外とエネルギーが要ります。その後の気まずさを考えるとなかなか伝えにくいこともあります。ですが、ちゃんと伝えるべきことは伝えられるようになりたいなぁと思いました。

感謝や信頼の気持ちを正直に伝える

11話でアニメーターが足りない時、井口さんが絵麻ちゃんに「3人が階段駆け降りるシーン描きなよ!」と声をかけるシーンがあります。絵麻ちゃんはいつものように「え、いいんですか…そんな大事なシーン…」と戸惑いますが、井口さんはきっちりと信頼を口にします。

「大事だからやるんだよ」

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先輩からこれを言われたら相当嬉しいですよね。こういう信頼の言葉は、ちゃんと口にしないと思った以上に伝わりません。

感謝の気持ちに関しても同様です。例えば、12話でえくそだすっ!最終話をやりきった杉江さんがみゃーもりと話すシーン。

「ありがとう宮森さん。宮森さんが仕事を振ってくれなければ、僕はムサニのお荷物で終わるところだった。今風の絵が描けないだなんて言って、孤高の職人を気取っていたんだねぇ。自分にもまだやれることがあるんだと分かって、とても嬉しいんだよ。ありがとう」

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感謝の気持ちを正直に伝えるのはわりと恥ずかしいので難しいんですが、杉江さんは素直に伝えられていてかっこいいなぁと思いました。

相手を褒める時も同じです。例えば、10話で瀬川さんが絵麻ちゃんの作画の感想を伝えるシーン。

「確かに、あの時は飛ばしてたよね」

「でもその後の猫の原画よかった!よく観察して描いたでしょ。猫が寝転ぶボーズとか、可愛かった!」

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余談ですが、このシーンは瀬川さんの猫手のジェスチャーが最強に可愛いです。

22話では、杉江さんも絵麻ちゃんに対して賞賛の言葉をかけています。

「これは僕には描けないな。安原さんにしか描けない絵だ。いいね」

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17話で、キャラデを乗り越えた井口さんに小笠原さんがかけた言葉もいいですね。

「井口さんがめげず腐らず、頑張ったからです」

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こういう言葉って、いつも言ってるとチープな感じになるんですが、それでも感じたポジティブな気持ちはちゃんと相手に伝えられるようになりたいものです。


なんだか途中から大人の振る舞いというより、なりたい人間像みたいな話になってしまいました。

SHIROBAKOはフィクションですし、予定調和な展開と言ってしまえばそれまでなんですが、こういう物語の中から自分の理想の姿を更新していくのはまぁいいんじゃないかなぁと思ったり。もちろん影響をモロに受けすぎないように気をつける必要はありますけどね。

SHIROBAKOはこんな風になりたいなぁと感じる大人の振る舞いが多くて、まとめるのが大変でした。変な話、まとめきれていません。

ということで、Advent Calendarも無事完パケしたことですし、記事を書いていただいた皆さんと松亭で新年会をしたいなぁと考えています。日にちは直接連絡して調整します。人数多くなったら場所変えるかもしれませんが、とりあえずみんな松亭に集合な!!!

それでは、最後はこの言葉で締めたいと思います。

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「どんどんドーナツどーんと行こう!」

以上です。