SHIROBAKO Advent Calendar 2018 始まりました。
SHIROBAKOでは、宮森をはじめとして締切とクオリティを両立すべく必死に頑張る魅力的なキャラクターがたくさん登場します。その中で 常に自分のペースを保ちながら仕事をしている稀有な人物がいます。そう、 佐倉良樹です*1。
佐倉さんの登場シーンは全24話通して1分もないですが、彼の安定感のある全台詞を振り返っておきたいと思います。
「いいよー別に。撮影は待つのも仕事だからねー」
第1話『明日に向かって、えくそだすっ!』にて、作画が遅れ全体のスケジュールも後ろ倒しになることを伝えにきた宮森に対して言った台詞です。
「いいよー別に。撮影は待つのも仕事だからねー」
撮影というのは、アニメ制作における最終工程なので、それまでの遅れがそのまましわ寄せとして影響します。それに対して決して感情的にならず、相手にも気を遣わせすぎない言葉を言えるのは本当にかっこいいですね。1年目で奔走する宮森にとっても、どんな状況でも感情の起伏なく仕事をする佐倉さんの安定感は救いだったのではないでしょうか。
作業を待っている間に折り紙をしているところにも、そこはかとない余裕を感じさせます。
「何言ってんの、20分あれば余裕だよ」
同じく第1話にて、切羽詰まった状態で『えくそだすっ!』3話の仕事がきたときの台詞です。
「え、ダビングまであと1時間?何言ってんの、20分あれば余裕だよ」
撮影は待つのも仕事と言った時から少し髪が伸びています。デスクの上の折り紙も増えていて、それまでの待ち時間を想像できますね。
こういった台詞は、最悪ケースでの仕事の見積りをしておく力、そして前の工程の状況に対する理解やリスペクトがないとなかなか言うことができません。安定感を象徴するようなこの台詞を、 ベスト・オブ・佐倉に選ぶ方も多いのではないでしょうか。
「おっ、どうしたー?おしっこか?」
第3話『総集編はもういやだ』にて、緊急の仕事の電話のあとに起きてきた息子に対してかけた台詞です。
「はい、了解。明日は朝イチで会社入るよー」
「うんー大丈夫。はいはい。おやすみー」
(起きてきた息子)
「パパさん...」
「おっ、どうしたー?おしっこか?」
自宅の大きなシアタールームで、就寝前に宇宙物の映画を鑑賞しているのでしょうか。急な仕事の電話にもいつもと同じペースで対応し、翌朝早く、おそらく7時くらいに会社に行くことを了承しています。
特筆すべきは 息子に対する口調も会社での口調もさして大差ないところですね。語尾を少し伸ばす話し方も変わらず、公私ともに自分を変えずに生きている感じがします。
息子さんが 「パパさん」と親にさん付けしているあたり、似たような空気感が遺伝しているのを感じますね。
「ほいきた」
同じく第3話にて、待ちに待った修正を宮森が持ってきた時の台詞です。
「ほいきた」
「おぉ、いいじゃんアルピン」
朝イチに出社して待ってから、こういった余裕の応対はなかなかできるものではありません。作り直したシーンの出来を宮森と一緒に確認して、仕事を楽しんでいる雰囲気なのもいいですね。
「俺からも自主リテイクしていいかな?」
第12話『えくそだす・クリスマス』にて、宮森から最終話の修正依頼を受けた時の台詞です。
「カット341、光源を意識した光の情報量がもっと欲しいので、もう1テイクだけお願いしたいそうです」
「よーし、とことんゴージャスにしてやる。あと、ちなみにワンカット、俺からも自主リテイクしていいかな?ハンディブレ、もっとかっこよくしたい」
申し訳なさそうに依頼してきた宮森を安心させるような心強い一言を返すところもいいですが、切羽詰まった状況でもよい作品を作るために前のめりに自主リテイクをお願いするところは特にかっこいいですね。
「じゃあ、この程度かな?」
第15話『こんな絵でいいんですか?』にて、撮影打ち合わせ中に動画を編集しながら監督と諸々の調整している時の台詞です。
「モーションブラーは?」
「気づかれない程度にさりげなく」
「こうですか?」
「あ、ちょい多すぎ?」
「じゃあ、この程度かな?」
「それから、フリッカー対策はデフォルトとして…ディフュージョンは?」
「やっぱ少なめかな」
「この程度?」
「あ、そうそう」
「あ、あと三女用に新しいスクリプトを...」
話しながらその場で作業して調整していく仕事の方法は自分もソフトウェアを作る時にやっていきたいやり方で、それを実践している佐倉さんはかっこいいなと思いました。
最後に少しスクリプトの話が出ているんですが、おそらく単純作業をどんどん自動化していることでこの方法を実現しているのでしょう。
「ガラスのハイライトが一発で出るんだよ」
第24話『遠すぎた納品』にて、最終話の撮影を待つ間に同僚と話している時の台詞です。ちなみに、自分は佐倉さんの台詞の中でこれが一番好きです。
「間に合うんですかねぇ」
「間に合わせるよーもちろん。積まれればね」
「あー、あと新しいプラグイン作ってみたんだよね」
「!(ため息) …この後に及んでまたですか?」
「ガラスのハイライトが一発で出るんだよ」
仕事はやりきると断言する台詞もかっこいいですが、待っている間にも楽しそうに仕事の効率化を進めているところがとてもよいですね。同僚は若干呆れた声を出していますが、きっとこういった地道な積み重ねが佐倉さんの安定感の源泉となっているのでしょう。
今回もう一度SHIROBAKOを全話見返したんですが、何度見ても佐倉さんの安定感はすごいですね。
本筋とは関係ないですが、朝礼で皆で「えくそだすっ!」の掛け声をあげた時の佐倉さんは左手を上げていますね。左利きなのだとしたら、イメージぴったりだなと思いました。
私からは以上です。今年もAdvent Calendarを楽しみたいと思います。
*1:ナベPも安定感のある人物ですが、責任ある立場のせいか意外と焦りを表に出すこともあるので、安定感という意味では佐倉さんが一番だと考えています。