読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Konifar's WIP

親方!空からどらえもんが!

SHIROBAKO12話の杉江さんが好きなのでただただまとめておきたい

月日が経つのは早いもので、SHIROBAKO Advent Calendar 2016も最終日となりました。何を書こうか迷いましたが、12話の杉江さんの話をすることにしましょう。好きな回をただまとめて終わるのも悪くないですよね。

f:id:konifar:20161225230850p:plain [出典 : http://shirobako-anime.com/character-23.html]

12話では、『えくそだすっ!』最終話で無数の馬が疾走するラスト20カットが埋まらないという状況の中、宮森の提案で杉江さんに原画をお願いしに行くことになります。宮森はすでに帰宅していた杉江さんの家に赴き、経緯を説明します。

f:id:konifar:20161225231212j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「待たせて悪かったね」
宮森「あ、いえ。突然ですみません」
杉江「まずは、拝見しようか」

宮森から受け取ったコンテをパラパラと眺めた後、杉江さんはすぐに一言口にします。

f:id:konifar:20161225231333j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「宮森さん、まだみんな会社に残ってるかな?」
宮森「え?」
杉江「話をしないといけないから」
杉江妻「あなたの悪い癖。いつも言葉が少ないか多いのよ。杉江は受けるつもりでいるみたい。でも少し、作戦が必要だって」

杉江さんの奥さんが言うとおり、言葉数少なく飛躍しているようにも見えますが、次のような偉大さが見て取れます。

1. コンテをざっと眺めただけでだいたいの工数を見積もる経験値の高さ

2. 自分の能力だけではあぶれると判断できる冷静さ

3. 今すぐ行動するべきだと感じてからの行動力

杉江さんが宮森のもとに出てくるのに時間がかかったところを見ると、もしかしたらすでに床に就いていたのかもしれません。 そんな状態でだいたいの工数を見積り、自分のキャパシティを考慮した上で、今すぐ会社に行って話をするという判断ができるのは並大抵のことではありません。

場面は変わって、会社に移動した杉江さんがみんなの前で説明していきます。

f:id:konifar:20161225233120j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「さて、木下くんのコンテを拝見しました。例えばこの馬の俯瞰。僕の考えですが、このカットは半日かかります。こっち、馬の背中を次々に移動する3人、これは8時間かな。」

この会話の何がすごいって、経験はもちろんですが自分のキャパシティを正確に把握しているんですよね。

歳を取るにつれて無理をしづらくなった杉江さんにとっては当たり前の仕事のやり方なのかもしれませんが、「ちょっと頑張れば終わるだろう」というふんわりとした見積もりは一切していません。

杉江さんの説明はさらに続きます。

f:id:konifar:20161225233206j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「16カット、全部上げるとなると1週間かかるね。9時から終電まで、1日フルで働いたとしても」
宮森「あの…!えっと…!」
杉江「そんな時間はないよね。だけど、ラフ原でよければ時間が短縮できる」

杉江さんは、プレイヤーとしての自分の能力を考えつつも全体のスケジュールを俯瞰して作戦を立てています。

この時点で、納品まであと12日という状況です。すでに夜なので正確には残り11日と考えるべきでしょう。アニメーション制作の流れを見るとわかりますが、レイアウト・原画に1週間かかってしまうと、残り4日で動画や撮影、編集を終わらせなければならず、ミスが許されない状況になってしまいます。それは許容できないという宮森の気持ちも当然わかった上で、対案を出しているわけです。

結果、杉江さんがラフ状態の第一原画を担当し、ムサニ2強の小笠原さん、井口さんが第二原画を担当するという唯一かつ最上の布陣で制作していくこととなります。

後に22話で昔の杉江さんの描写が出てきますが、おそらく何度も同じような修羅場を乗り切ってきたのでしょう。宮森だけでなくチーム全体が浮足立っていた状態を一度の会議で沈め、「なんだかいけそう」「頑張るぞ」という空気にしてしまいました。また、一番の年長者が謙虚にお願いする姿勢もチームを鼓舞する要因となったのではないでしょうか。

f:id:konifar:20161225233248j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「ありがとう、助かるよ。みんなで頑張ろう」

さらに、ダイジェストでカットを仕上げていく様子を見ながら杉江さんのナレーションが続きます。

f:id:konifar:20161225233329j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「残り16カット、これを1日5カットずつ上げます」
杉江「最後の1カットだけは、どうしても1日かかっちゃうねえ。都合4日」

タイトなスケジュールで、後続のタスクが詰まった仕事をする上で重要なのは、『期限を伝えてそれを守る、守れなそうな時はすぐに伝える』ということです。言葉にすると当たり前なようですが、これがきちんとできる人は意外と少ないんですよね。こういう積み重ねこそがまさにプロ意識と呼ばれるものです。

プロ意識といえば、作業終盤、監督も含めて動きのチェックをしている際には杉江さんの本気を感じさせる描写があります。

f:id:konifar:20161225233412j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「木下くん、まだ修正できますか?」
木下「え?」
杉江「カット304、足の運びが気になるんですよ」
木下「すごくいい動きだと思いますけど…」
杉江「すみません、僕のミスです。自分で直しますので3時間だけもらえますか?」

いわゆる『贅沢なリテイク』という、本来直さなくても問題のない優先度の低い修正です。しかし、「杉江さんが3時間というなら3時間で仕上げてくれるのだろう」という信頼からOKが出て直すことになります。

個人的に印象的だったのは「僕のミスです」と皆の前で伝えているところです。12話で杉江さんが担当したのはラフ原であり、杉江さん自身のミスだったかどうかは本当のところはわからないんですね。それでも「僕のミスです」と明言したその姿勢からは、杉江さんの圧倒的当事者意識が垣間見えます。つまり、第二原画に小笠原さんと井口さんに入ってもらい、他の原画マンにも手伝ってもらって人海戦術で仕上げるという判断をした以上、全ての責任は自分で取るという意識があのリテイクに表れたということですね。

何とか納期に間に合い、みんなで打ち上げ行くぞという時の杉江さんがまた最高です。

f:id:konifar:20161225233559j:plain [出典 : http://anicobin.ldblog.jp/archives/42584529.html]

杉江「すまんね、僕は遠慮しておくよ。23時には布団に入る習慣なんだ」

このシーンの杉江さんが最高なのは、おそらくこの習慣がここ数日崩れていたのだろうと想像できるところなんですよね。

自分のリズムをしっかり持って、決められた時間内で成果を出すのは理想的な姿です。一方で、限界を超えて無理をするアツい働き方も悪くないと思うんですね。あくまで個人的には、ですけれども。通常時はリズムを保ちつつ、やるべき時は無理をできる人というのが一番かっこいいと思うわけです。

そういう意味で、12話の杉江さんというのは自分にとってかっこいい姿の塊のように感じていて、フィクションではありますが目標にしていきたいエッセンスが詰まっているのかもしれません。


冷静にまとめてられているように見えますが、見返している最中終始半泣きで喉がヒクヒクしていたことを記しておきます。

ということで、SHIROBAKO Advent Calendar 2016 お疲れ様でした。去年と同じく文章では語り尽くせなかったので、今年も書いていただいた皆さんと一緒に松亭で新年会をやろうと思います。詳細はまた連絡させてもらいますが、とりあえずドーナツ持って松亭に集合な!

それでは、最後はこの言葉で締めたいと思います。

「「どんどんドーナツどーんと行こう!」」

以上です。