Konifar's WIP

親方!空からどらえもんが!

DroidKaigi登壇におけるKyashを使った投げ銭の経緯と結果

先日DroidKaigiで登壇した際、自社プロダクトであるKyashの紹介とアイスブレイクを兼ねて「もしもこの発表がよかったなぁと感じていただけたら、このスライドのQRコードから39円*1送ってみてください」と言ってみたところ、 25人の方から7,400円もの投げ銭をいただきました。

送っていただいた皆さん、本当にありがとうございました。想像の10倍以上のフィードバックをいただいたので、事の経緯と結果を備忘として残しておこうと思います。

経緯

念のため先に言っておくと、「最高だったからみんなKyashで登壇投げ銭やっていこうぜ」という話ではないです。Kyashはまだ機能も投げ銭に最適化されているわけではありません。法規制やタスクの優先順位を鑑みて、Kyashが会社として投げ銭を訴求していくにはまだ尚早だと考えてきたからです。

たとえば、現状の仕様だと送金時に本名が表示されますが、クリエイターに投げ銭するというユースケースではお互いに本名ではなく通り名でやりとりしたいですよね。また運用についても同様で、ユーザーが安心して使えるようにFAQを整備する必要もあります。

もともと、自分自身がいい記事や発表資料を見たときに 「こんな知見を提供してくれるなんて神では…?飯でも奢りたい」と感じることが何度もあって、Kyashでそういうのが気軽にできる世の中にできるのではないかと思って入社したんですよね。ただ、投げ銭という文脈でKyashが使われていくのかどうかは社内でも確信があるわけではなく、もちろん自分自身も実際どうなのかわかっていませんでした。

そんなときに、「DroidKaigiで登壇するならちょうどいいからQRコードだけ載せて実験的に投げ銭やってみるか」と思いついたのが最初のきっかけです。

当日

30分しかない発表の中で自社プロダクトの説明に時間を使うのが嫌だったので、自己紹介含めて2分くらいで話しました。聞きにきていただいた皆さんの"優しさ"もあり、いい感じのアイスブレイクにもなってよかったです。

説明用のスライドも用意していましたが、SpeakerDeckには上げませんでした。こういうのはその場にいた人じゃないと空気感が伝わらないので、変な方向に突っ込まれるとつらいなと思ったからです。

結果

実は登壇後はオフィスアワーで質問を受けていて投げ銭のことはすっかり忘れてしまっていました。「そういえば投げ銭ってどのくらいきたんですか?」と聞かれて見てみると、6人の方から届いていました。登壇では39円と話していたんですが、390円送ってくれた人も何人かいて驚きました。

その後続々と投げ銭が届き、 結果的に25人の方から7,400円もの投げ銭をいただきました。

DroidKaigiという大きめの登壇といえども、実際に投げ銭するのは39円 * 10人で390円くらいかなぁと予想していたので、この結果には本当にビビりました。

Kyashでは送金時にメッセージを一緒に送れるのですが、セッションに対するフィードバックを直接聞けたのが一番嬉しかったです。

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なんと、実際に会場に来ていない方からも反応をいただいたりもしました。

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シャチョーからも労いの投げ銭をいただきました。優しい。

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こんな感じのメッセージが続々と届いてとても嬉しかったです*2。Kyash上でお礼のメッセージは全員に返していますが、暖かいメッセージと投げ銭本当にありがとうございました。

ちなみにKyashでは請求も可能なのですが、今回は請求は来なくてよかったです。

今後

Kyashでいただいたお金をそのまま返すこともできるのですが、善意でいただいたものを返すのも野暮なので、何かしら別の形で還元できればと考えています。

と思ったら、4月に技術書典4があるじゃないですか。Flutterの本を出す予定なので、その費用に当てさせていただきます。がんばって書ききるので興味があれば買いに来てください!!

今回の試みで「投げ銭ユースケースでもKyashを進化させていくのアリなのでは?」と実感できたので、本業であるKyashの開発も頑張っていきたいと思います。APIとか公開して、裏側の仕組みはKyashで気軽に投げ銭機能がつけられたりできると最高ですね。あるいは、金額とメッセージがプリセットされるQRコードジェネレータツールを公開するだけでも技術書典で使えたりしていいかもしれません。まぁまだ妄想でしかないですが、ユーザーの皆さんの意見も聞きながらより便利にしていければいいなと思います。


以下、Kyashでの投げ銭と税制について気になる方もいると思うので少し補足しておきます。

Kyashは前払式支払手段発行業としてアプリ上での送金を実現しています。正確には現金のやりとりではなくKyashの発行したVISAのバーチャルプリペイドカードを介してバリューをやりとりしているのですね。

Kyashで投げ銭をもらった場合、①消費税と②所得(または贈与)の2点についてどうなるか気になるところかと思います。

まず、①消費税について。こちらはプリペイドの譲渡となるため非課税です。

No.6229 商品券やプリペイドカードなど|消費税|国税庁

商品券、ギフト券、旅行券のほかテレホンカードなどのいわゆるプリペイドカードの譲渡は、物品切手等の譲渡として非課税とされています

次に、②所得(または贈与)について。こちらは判断が難しいところです。

結論としては、実は明確な方針が示されているわけではないので、役務提供と見なされ雑所得となる可能性があります。

企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について|論叢|税務大学校|国税庁

役務提供の対価として獲得したポイントについては雑所得となる。

今のところまだ「可能性がある」としか言えないのは、前払式支払手段でのVISAポイントのやりとりというのはKyashが初めて実現した仕組みだからです。

実際には「テレホンカードを知人にあげる」行為と同じなのですが、Kyashに貯まったバリューは無期限で残高上限も1,000万円と高額なので、実質的に財産的価値と見なされる可能性もあるのですね。そのあたりの制度自体がまだ整っていないので何ともいえないのですが、今のところは「雑所得になりうる」というのが妥当な表現になります。自分も今回いただいた7,400円は雑所得として申告する予定です。

いやぁ、正直ややこしいですね。本音を言えば、Kyashでも何でもいいから早く気軽に投げ銭できる世の中にしたいという気持ちが強いです。

自分もまだ勉強中なのですが、このあたりの話をもう少し詳しく聞きたい方は @konifarまで気軽にDMください!

*1:実は39円送った時のみ表示されるアニメーションを実装しています

*2:メッセージのスクショは、相手の了承を得た上で載せています。